Holter心電図の周波数領域における三次元画像
*Holter心電図とは:長時間記録した心電図情報を、後刻高速度分析処理する方法
当院の分析装置:フクダ電子製SCM-6000(V4-02)。本装置は、24時間連続記録心電図を約2分間で分析処理する。
「Holter心電図の分析項目」
@時間領域:主に副交感神経機能を評価する指標が得られる。
A周波数領域:交感神経と副交感神経の各活動性を分離評価しうる利点がある
周波数領域指標の指標1)(/5min)
●低周波数成分(LF : Low Frequency):周波数帯域が0.04〜0.15Hz
臨床的意義:副交感神経により修飾された交感神経活動の指標
●高周波数成分(HF : High Frequency):周波数帯域が0.15〜0.40Hz
副交感神経活動の指標
●LF/HF
交感神経活動の指標
結果
1)適応障害では、自律神経両系が寛解期に比較してアンバランスに活動が亢進する“正の相関関係”にあり、一方、気分障害では、アンバランスに活動が減弱化する“負の相関関係”にある。したがって、周波数領域の三次元表示画像は、抑うつ状態をもたらす適応障害と気分障害とを鑑別する視覚的な診断情報になりうるものと思われる2)3)。
2)本検査では、自律神経両系の活動性が60msec2以下に減弱化した場合、自傷(自殺)行為に至りやすい。このことは、周波数領域で得られる定量評価値が自傷(自殺)行為を未然に防止する新たな客観的担い手になりうる可能性があげられる。
参考文献
1)
Task Force of the European Society of Cardiology and the North American
Society of Pacing and Electrophysiology : Heart rate variability : standards of
measurement, physiological interpretation, and clinical use. Circulation 93 : 1043-1065, 1996.
2)
藤岡俊宏:抑うつ状態における心拍変動。Heart & Wellness:No17、p14-16、2005
3) 藤岡俊宏、森由美子:精神状態像と心拍変動との関連(第3報)-パワースペクトル解析による抑うつ状態の重症度評価-。 自律神経、42巻3号に掲載予定。
第24回日本心理臨床学会
抑うつを主訴としたクライエントの心理療法の終結
-自律神経活動との関連を通して-
緒方釈 (医療法人敬愛会 城山病院 心理療法課)